13日・PM











「スクアーロ、誕生日おめでごっふ!?」
 だらけ、もとい、パーティ中の幹部連に来客が告げられたのは昼をすこし過ぎた頃、通された客人が奇声を上げてしゃがみこんだのはまさに今。直後、からんと音を立てて銀器が転がった。
「う…な、っな、えぇ…!?」
「あら。ちょっとベルちゃん、人に当たっちゃったみたいよ。だからやめなさいって言ったのに」
「知ーらねー俺王子だもーん」
「ディーノ…おまえも運悪ィなぁ。まあまだマシだったな、スプーンで。ナイフなら刺さってただろうぜ」
「うああ…」
「つーかなんか用事か?」
「た、誕」
「スクアーロっ!久しぶりな!」
「あ゛ぁ?…刀小僧」
「誕生日って聞いて来てみた!えっと、ボン、コンプレァンノ?か?とにかくおめでとうな!」
「こ、こんにちはー…」
 ひょこひょこと顔を出すのは見た顔だ。もう1年近く前になるのか、遠い東の島国で戦った子どもたち、雨のリングの主とサワダツナヨシ、それに黒スーツのアルコバレーノ。嵐のやつもいる。あのときの戦いについて思うところはまだあるけれど、だからといって接触を完全に拒もうという気はないし、なんといっても勝者は向こう。向こうからやってくる分には逆らう権利はない。とはいえ。
「てめぇらに祝われる筋合いねぇぞ。あとてめーら学生じゃなかったのかぁ」
「うん、だからあれ、春休み前倒しっていうか」
「…ジャポーネってよくわかんねぇ」
「義務教育だから大丈夫なのな!」
「いやっ、大丈夫じゃないからね山本!?…あ、あの、なんていうかその、リボーンが山本にいらんこと教えたみたいで、会いに行くって言い出して、山本パスポートとかもう持ってるから止めても勝手に行きそうで、でもひとりで行かせるわけにもいかないし、なのであの、学校休んで、ディーノさんに頼んで、それで、来ちゃいました…な、なんかすみません」
「10代目が謝られることありませんよ!悪いのは全部この野球バカです」
「だってなー俺スクアーロ好きだしーだけどこんなときでもなきゃ来れねえしー」
「さらっと何言ってるのー!?」
「…べつにこっちはなんでもいいけどよ…それよりなんかなぁ、さっきから爆音とガキの泣き声っぽいもんが聞こえんだがなぁ」
「…ああっ!そういえばランボとイーピンがいない!!」
「アホ牛なら階段の手すりすべって遊んでました!」
「そのあと、勢いつけすぎて、床に激突してたぞ」
「見てたんなら言ってよ!!」
「あーもーうるさいな王子の前で。刺すよ」
「んだと、やれるもんなら…」
「お願いだからやめてー!!!!」





 自慢じゃないが最凶と名高い暗殺者集団、その牙城がこれだけ騒々しかったのは、ついぞないことだった。殺ししか知らない人間のふきだまりに限度を知らない子どもが入りこんだらどうなるか。そしてその子どもを放り出すわけにもいかないとしたら? 答えがこれだった。蜂の巣をつついたどころじゃない大騒ぎだ。
 ついでにスクアーロの誕生日がこんなに騒々しかったのもはじめてだった。こんなに大勢に祝われたのも、だ(異国からやってきた子どもたちに便乗してアコガレの次席に祝いを述べる隊員があとを絶たなかったのだ) とりあえず、こういう子どもたちを上と仰ぐ未来の予想図を今日かいま見たのだと、諦観とともに悟らないでもないスクアーロだった。











12日 PM   13日 AM   14日 AM



偶然みんな集まっちゃって楽しかったよ!鮫愛されてるね!的な都合のいい展開にはしたくないなと思えば思うほどそういう方向に…